ハミングバード/こん
わかっているよ
ぼくはいつだって ただしくないんだ
ただしい、でもなく
まちがっている、でもなく ただ
ただしくないんだ
きみがきみであるということ
海が海であるということ
花が花であるということ
ぼくがぼくであるということ
くるおしく「ああこれだ」というものを
もとめているだけなんだ
地球儀をくるくる廻しても
どこかにいきたいからなんて
旅立ちの理由にさえならないイタミを
うまれたてのたまごのように
そっと抱えて生きてゆくなんて
ふあん と やわらかい羽のベッドにしずむ
隣の塔からきみの歌声が聞こえてくる
壊れていたハープは直ったのかい?
遠い山々のいただきに 白く残る雪のよう
強くて儚い 歌
泣いてるの?
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