望み/山崎 風雅
 
 金木犀の香りが漂い
 星は落ちてきそうに輝いてる
 風が吹き俺達の頬を撫でる

 愛撫するように
 耳元でお前に囁く
 決して遊びなんかじゃないぜ

 絶え間なく続いていく命のリレー
 闘いの青春にたなびいていた赤い旗

 俺達の行く手には
 数知れないハードルが用意されていた
 息つく暇もなく
 俺達はドラマの再演のように
 何度も何度も
 試されていた

 やがて
 丘の上の教会で鐘が鳴り
 荒んだ心に
 砂漠に恵みの雨が降るように
 優しい光りが俺達を照らした
 
 もういらないあの真夜中のスリル

 ただ俺達のこの髪を風のままに靡(な)びかせていたい
 おまえの黒髪が天女の舞いのように見える

 飽き飽きする社会の混乱の中に
 おまえを放っておいたりしないから

 
 優しくお前の手を握るから


 

 微笑んでくれたらそれだけでいい







 
 

 
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