未収/吉田ぐんじょう
 
郵便受けの中に
蝶々の形をした手紙が
ぎっしり
留められている

わたしは
ピンセットを遣って
ていねいに剥がし
掌に落としていったのだが

手紙は未だ
生きていたらしい
あとからあとから
羽ばたいてしまって
どうしようも無い

歯痒くなって
マッチで燃やした
飛んでるのも
留まってるのも
抵抗せずにみな燃えた

ついに
郵便受けは空になった
こぼれだした熱いインキが
結末みたいに
点々と残っているだけだ

燃え残った蝶々が
白い罫線を見せながら
足元に落ちて
まどろんでいる
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