未収/吉田ぐんじょう
郵便受けの中に
蝶々の形をした手紙が
ぎっしり
留められている
わたしは
ピンセットを遣って
ていねいに剥がし
掌に落としていったのだが
手紙は未だ
生きていたらしい
あとからあとから
羽ばたいてしまって
どうしようも無い
歯痒くなって
マッチで燃やした
飛んでるのも
留まってるのも
抵抗せずにみな燃えた
ついに
郵便受けは空になった
こぼれだした熱いインキが
結末みたいに
点々と残っているだけだ
燃え残った蝶々が
白い罫線を見せながら
足元に落ちて
まどろんでいる
戻る 編 削 Point(10)