月/むむ
 


若駒引きて 闇惑う
若苗河の ほとりにて
割れては結ぶ 艶(あで)な縁
公魚(わかさぎ)の脇 浮かぶ月


沸かし冷ましの 湯女煙り
若燕一羽 迷いしは
湧き立つ女陰(ほと)に 濡れまつ毛
和悦にむせぶ 薪能


惑溺巡りて 蛇の目垂ゆ
邂逅(わくらば)の色は 蜃気楼
分けて舞い散り 千代に降る
別れ路待つは 蓮の花


忘れ貝泣く 彼岸花
和女郎の爪あとと 朱に染まる
我が恋う人の 月見れば
我、また涙 溢れ来る




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