救世主/山崎 風雅
樹のようでありたい
樹のように誰にも迷惑をかけず
誰からも誤解されず
夏にも冬にも負けず
愚痴すらこぼさない
そうだな
それでも人間に生まれてきたんだよな
悲劇というものも
季節が変ると喜劇に変ることを
お前は教えてくれたよな
そうだ
今夜は寒いだろうから
コンビニでおでんを買って
お前のところに持っていってやろう
お気楽な時代さ
大概のものは簡単に揃い
手間もかからない
そんなことより
妹の子供が生まれたんだ
かわいい、ふっくらした女の子さ
精一杯おもしろい顔を作ってやると
ケラケラ笑う
救われるぜ
救われるんだ
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