書く動力12/Dr.Jaco
 
でも実は「貴方」の「前」にある「私」も手に入っていない。言葉を得た課程を
得た「後」の言葉で書くことがだいたい間違っている。前回脈絡も無く名古屋人
と自分との「折り合いの無さ」を言ってしまったが(私が排除されているのだか
ら別に名古屋人が悪い訳ではない)、「折り合い」程度のことでも苦心惨憺、書
けない書ききれないと嘆いているうちに早中年のおっさんになってしまったとい
うことである。

言葉を得る瞬間の境界は、たぶん以前からくどくど言い立てている「シーツの皺」
と同じである。越えた後に消えてしまう境界である。

文字を置くことによって、昆虫のような(というのも知らないんだから比喩
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