クロ/印刷屋
 
こんころこん
木枯らし吹いて
干柿カーテン
ゆらゆらゆれる

野良猫クロは
縁の戸袋
しとねに眠り
片目で窓を覗きみる

「入れてやろうか
クロ吉よ」

でもね、おまえは汚らしい
うちの赤ん坊
病気を召さる
すまぬが入れてやれまいよ

こんころこん
クロは縁側で
ぬくめたミルクを舐める
私と赤子は妻の帰りを待ちながら
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