習作/吉田ぐんじょう
・
しゅんじゃく神社
と云う神社をみかけた
春寂神社と云う字である
煮過ぎた菜っ葉を
噛んだときの音みたいだ
と思った
神様も春は寂しいんだろうか
・
教習所の帰りに
落ち込んだ侭
ココスに入った
子供が泣いてたから
泣きたいのはこっちだよ
と思いながら
妙に好戦的になって
ハンバーグとサラダとパルフェを注文
みちみちみちと食らいつくして
持ち合わせが足りなくて
母親に電話した
子供が泣いてたから
・
飛行機雲と黒雲と
夕暮れが混沌として凄い空だ
方法的懐疑を試みたが
あれは間違いなく空であって
間違いなく凄くて
圧倒されて
脱構築も出来ない
・
辛いとか
さみしいとか
疲れたとか
そういうのをだらだら
口の端から零しながら
足跡をつけてく
誰かに追ってきて欲しくて
・
生きている
と云う事は既に
生に束縛された状態
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