習作/吉田ぐんじょう
 

しゅんじゃく神社
と云う神社をみかけた
春寂神社と云う字である
煮過ぎた菜っ葉を
噛んだときの音みたいだ
と思った

神様も春は寂しいんだろうか


教習所の帰りに
落ち込んだ侭
ココスに入った
子供が泣いてたから
泣きたいのはこっちだよ
と思いながら
妙に好戦的になって
ハンバーグとサラダとパルフェを注文
みちみちみちと食らいつくして
持ち合わせが足りなくて
母親に電話した

子供が泣いてたから


飛行機雲と黒雲と
夕暮れが混沌として凄い空だ
方法的懐疑を試みたが
あれは間違いなく空であって
間違いなく凄くて
圧倒されて
脱構築も出来ない


辛いとか
さみしいとか
疲れたとか
そういうのをだらだら
口の端から零しながら
足跡をつけてく
誰かに追ってきて欲しくて


生きている
と云う事は既に
生に束縛された状態
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