音/あおば
 
硬直した光のように
景色が泥沼に沈んでゆく

音のない世界から
チェンバロの音が響いてきて
三毛猫の背中が艶々してきた
足音を忍ばせて
万年塀を伝わり
音もなく地上に降りて

夕方になると
ゲームセンターの前を素通りして
何処かに消えた

消しゴム
手鏡

850円の
コンビニ弁当を
ぶら下げて通るのは
三毛猫のような
君の面影が消えると
音の無い景色の中で弁当を平らげている
むしゃむしゃという
音がした



戻る   Point(7)