音/
あおば
硬直した光のように
景色が泥沼に沈んでゆく
音のない世界から
チェンバロの音が響いてきて
三毛猫の背中が艶々してきた
足音を忍ばせて
万年塀を伝わり
音もなく地上に降りて
夕方になると
ゲームセンターの前を素通りして
何処かに消えた
消しゴム
手鏡
850円の
コンビニ弁当を
ぶら下げて通るのは
三毛猫のような
君の面影が消えると
音の無い景色の中で弁当を平らげている
むしゃむしゃという
音がした
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