「 あたしのあだしのくん、三。 」/PULL.
伝わるように、
もっと強く強く、
あだしのくんを抱きしめる。
だけど、
あたしのからだも冷たくなって、
あだしのくんと一緒に冷たくなって、
凍りついてゆく。
目がさめると、
もう朝になっていて、
あだしのくんも、
あたしも、
全身汗だくになっている。
あだしのくんは冷たくなくて、
いつものあだしのくんに戻っている。
あだしのくんは照れくさそうに、
「ありがとう。」
という。
あたしはあだしのくんの鼻を、
つまんでぺろり、
ひと舐めする。
あだしのくんがぐいっと、
あたしを引きよせる。
あたしとあだしのくんは、
また汗をかいて、
ひとつになる。
それから数日、
あたしのからだは冷たくなる。
からだの芯が冷えてしまったのだ。
あだしのくんは、
そんなあたしのからだを、
やさしく撫でて抱きしめて、
あたためてくれる。
あたしとあだしのくんは、
そんな夜を、
かさねている。
了。
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