走光性/北野つづみ
憧れはわたしに
足りないものを教えてくれるけれど
足りないものを足す方法は
教えてくれない
どんな大人になったらいいかを
わたしは知らなくて
憧れる人はいたけれど
どんなに頑張っても
その人のようにはなれなかった
あなたはあなたらしく咲けばいいの
気安く他人は云うけれど
わたしはわたしという花の
花びらの色もまだ知らない
蕾みのまま枯れてしまいそう
(それとも蕾みを持ってたかしら)
不安を両腕に抱えたまま
それでも朝になれば
光に向かって一日を始める
すべての花は植物は
光に向かって伸びてゆく
小さな羽虫も蛾も蝶も
光に向かって飛んでゆく
その性質が
わたしの中にもあるらしい
たどり着く
場所のことさえ良く知らないのに
2006.9.20
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