ここにいること/青山スイ
知らない町にやって来て
四畳半のアパートで暮らす
目に映るモノは
何もかもが新鮮で
同時に僕は
どうしようもなく
一人であることを
実感する
部屋
かつて人が住んでいた部屋
その歴史を知ることもなく
始まりを迎えることになる
もちろん
起源については何も知らないし
起源の起源についても知らない
気がつけば僕はそこに在って
笑ったり泣いたりする
散歩
知らない道があって
知らない家が並ぶ
年老いた犬が歩いている
とりあえずは彼の名前を
ジョニーだと仮定する
やあジョニー 良い天気だね
ジョニーは僕に目もくれず
トボトボと歩いていく
恥かしが
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