それだけでいい/山崎 風雅
 
 季節は移ろい
 人は漂い
 時代は叫ぶ

 飛んでくる火の粉を払っているうちに
 どんどん歳をとっていって
 気がつけば猫2匹飼う独りの部屋

 流れるままに
 そう
 流れるままに
 どこかに辿りつくだろう

 景色を追いかけても
 愛する人を追いかけても
 届かないこともあるんだ

 長い一人旅をしていて
 眠り姫のように
 王子様が訪れてくれるのを
 待つのも人生の知恵だと気付いた

 果報は寝て待てとも言うじゃないか

 そんなに焦らないで
 僕達も自然の一部

 神様がいるかどうかは知らないけれど

 1歩づつしか歩けない定めなんだよ

 辛い氷のような人生も春になるまで待てばいい
 

 冬には暖炉を灯せばいい
  
 
 それだけでいい
 よく寝よう



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