鐘が 鳴る/奥津 強
鐘が 鳴る やけに 陽気な 音じゃないか
まるで 私が 処刑に 出るかのような
寺か ヘドロの 街かは 知らないが
鐘が 鳴っている
街中の 人々が よれた 服を 着ては
賛美歌を 歌う
犯罪者の 晴れた 青空から
自殺者の 門出だ
声が あがっては
宦官達の カウントが 始まる
鐘が 鳴る
何と 陽気なのだろう!
食事も 取らない
酒も 花も 取らない
希望だけを 胸に 抱き
全国民からの 公開処刑
である
さぁ 最後の 一本を 吸おう
私の 眼前には
錆びた 刃 が 見えている
見えない 一本の 糸
それに すがり
次に 行くのだ!
希望溢れる 朝!
希望を冠す 朝!
鐘は 鳴り終えている
私は?
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