ベットの上の人形/AKiHiCo
 
風が部屋を満たしてゆく
カーテンがはためいて床に白と黒のコントラストを作る
機械の一つの電源を落としたら
キミが数ヶ月ぶりに微笑んでくれた
弱弱しい表情だったけれど幸せで満ちているように
僕の眼にはそう映った
花瓶に飾ってあった黄色いガーベラを一輪取り出して
キミの胸元へ捧げる
これでキミも解放されたよね、

六、
医師と看護士が慌てて部屋に駆けつけてきたけれど
僕が天国へ導いてあげたから
今頃はそっちで昔みたいに元気にしているはずだ
わざわざそんな事をしなくても
どうせ後三日も持たなかったのに、
医師がカルテに何かを書いている
まぁこれでキミは殺人を犯した事にはならないから、
延命措置打ち切りの件を書いていたようだ
どうかキミが向こうで幸せに暮らせますように、

七、
何事もなかったかのように過ごす毎日
変わった事と言えばキミがいないという事
今日の朝食はトーストと牛乳
昨日も同じ物を食べた
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