es/イヴ
 
僕がただ黙々と積み重ねてきたものというのは
実は誰かの残した足跡でしかなくて
それをあたかも自分のものであるかのように
錯覚して無くさぬよう両手で抱え込んだりして
過ぎ行く人が笑っていたのは あぁそうか
この事だったのだなとぎこちなく自嘲を浮かべ
また黙々とただ黙々と積み重ねるのです
それは夢だとか愛だとか自己だとか
まぁ言葉なんてどれでもいいのですが
手をかえ品をかえ時には雄弁に
僕は僕だ などと何処かで聞いたような台詞を
棒読みで流して少し安心したりして
安っぽいドラマの脇役のような気分になるのです
それでも両手いっぱいに積み重ねたそれを
いまさら否定するわけにもいかないから
僕はまたボクを精一杯演じるわけです
拍手喝さいのなかカーテンコールに応えるのを
今か今かと夢に見ながら‥自嘲

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