短い紀行文/光 七清
ある日僕は旅に出た。
みどりの扉をくいっと開けて、とにかく荒野に出てみた。
荒野には、野菜が植えてあった。
大きな果物の木もあったけれど、
なにがなっていたのだかはよくわからなかった。
そもそもどうして果物の木だとおもったのかも、よくわからない。
ともかくそれは、果物の木だった。
僕はりんごが大好きだ。
野菜よりも、百倍すきだという自信もある。
木の前にはありの巣があって、熱心な黒い小さい虫たちが、僕に向かって一斉に頭を下げたてきた。
だから、僕も頭を下げたんだ
礼には礼で、返さないとね
とにかく、簡単に言ってしまうと
ありの巣つきの果物の木と、ありの巣なしの果物の木
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