銀河鉄道と共に/潔
溢さず、ずっと窓の外を見ていた。鳥が飛んで行く。夜空の中をすいすいと。そのとき、僕はふと思い出したんだ。「よだか」って星を。彼は泥にまみれた美しさをもってるよ。何よりもきれいだ。何よりも立派だ。
僕は真の美しさを知っていた。それは原石の美しさに等しい。まだ磨かれていない美しさなのだ。そして、まだ磨かれていないがために発せられる面白みというものを有していた。しかし、これを理解できる者はどのくらいいるのだろう。
僕は相変らず、窓の外に顔を向けていた。少し冷ややかな気だるい春の夜風を感じながら。そして光を求めていた。一点の心休まる光を。
しかし、僕には光が見えない。
僕には目玉がないんだ。
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