土曜日の子供たち/RT
 

土曜の夜はカレーだった
カレーを食べながら全員集合を見る
土曜は、カレーで、ドリフだった
子供時代

兄が結婚して家を出て、春はもう三度目
週末には実家に子供をつれて帰ってくる
甥っ子は歩けるようになり
暖かくなった公園で熱が出るほどはしゃぐ

にぎやかな一日を過ごしてお風呂から出ると
兄がテレビを見ながらぽつりと言った
「いかりや長介が死んだって」
甥っ子はもう眠っている
将来は「いかりや長介なんて知らない」と言うだろう未来の子供
兄は父親でなくて
土曜日の子供の顔をしていた

ドリフは好きでもいかりやが好きという子供はいなかった
土曜にカレーを作る母さんのやさしさに気付く子供も
土曜日の子供たちは
土曜日を支えてきたものの存在を大人になって知る

いかりや長介は母さんのズラがよく似合っていた
土曜日に母さんはふたりいた

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