秋の海は思い出しか語らない/ぽえむ君
 
賑わった砂浜は
今では自分の足音しかなく
しかもそれは
波風とともに消されてゆく

目の前に見える海は
今の海ではなく
遠い昔に見た記憶の海

狭かった砂浜は
今では自分の足跡しかなく
しかもそれは
波音とともに流されてゆく

目の前に広がる海は
今の海ではなく
遥か昔に見た純粋の海

秋の海は
過去の記憶を呼び起こし
忘れていた無垢な原形を
波とともに繰り返し響かせる

前にある海は
今の海ではない
秋の海は思い出しか語らない
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