ピラニア/「Y」
? 」
明は力のない声で僕にたずねた。
「十年以上は生きるよ」
「十年.十年か…… 」
「大げさだね。そんな声を出して」
明の感に堪えた声に、僕は思わず笑ってしまった。明は、遠くを見るような空ろな目をしながら、口を閉ざしていた。
その後、明とどんな言葉を交わしたのか、僕はもう憶えていない。だが、結局その日、明はひどく落ち込んだ表情を残したまま、僕の家を後にした。僕は口が過ぎたのではないかと思い、その後しばらくの間、明とのやり取りを心の中で反芻していた。明が曖昧に濁した言葉が気になったが、そのことについて、改めて聞き返すことは無かった。
結局僕は、三つの私立中学を、明は第一
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