ピラニア/「Y」
といって、上級生と下級生の関係になったのかといえば、そういうものでもなかった。今にして思えば、僕は明に対して兄と弟の関係のようなものを求めていたのかもしれない。一人っ子の僕には、兄弟のいる友人をうらやむ気持ちがあったからだ。もっとも、明がどういう気持ちで僕と付き合っていたのかは分からない。明は、自分自身や自分の家族に関する事柄を、僕に向かって喋ることは滅多に無かったし、他人に関する噂話や悪口を口にすることも無かった。その代わり、彼が現在関心を抱いている事柄について話し出すと、際限が無い、といったところがあった。
Tシャツ一枚で過ごすのが辛くなりかけてきた時期、明と交わしたやり取りのなかに、強く
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