足摺岬/印刷屋
 
なん百キロの 距離を越えて
私のこの想い とどけ

逢うことは季節より 貴重で
まっすぐな 交歓を許さない
不器用で 生半な身体と
しばしば黙り込む こわばる精神と

それでもなお 越えて
私 あなたの傍にいる

あなたは蝉になって 想い人の 
背中にとり付くのだと いつか
聞かせてくれた ことがあったか
いまは 蝉すら絶え果てて

それでも なお越えて
あなた 私の傍に 
いる

たった二行の詩句に 想いを
重ね あなたが形見に
残してくれた アドレスという
名のつながらない 通信回路を

それでもなお 越えて
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