車窓/セキラボ!
い微笑み
静かに神話になろうとしている
艶やかなくちびるが
そっとはなびらに撞いた
僕は、笑った
ああ、君に、伝えたいことばかりが
この全身を巡っている
君は柔らかな全身に
甘い霧を集めていて
はなびらが君を時々覆うから
君は空を見上げて
その両腕を、大きく広げる
冬
まだ乗りなれないバスの車窓から
世界を流し見てみる
耳を澄ましても
音楽は風化してしまって
聞こえてはこない
君の名前、時々忘れるようになったよ
バスは国道に入り
やがて大きな街に入るから
僕はしばらくの間眼をつむろう
ふと
あまりにもあたたかいので
眼
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