音は奏でるもの土は耕すものわたしはなにするものぞ/黒川排除 (oldsoup)
さよなら愛する人よここは窮屈だと思っていた
時間の調べに乗せてもうちょっと辺りを見回してみようと思う
軍隊のこしらえた堤防を背に小道に立ち止まりながら
少し砂の混じった風を起こした車に向かって一目散に駆けて行く
少年のまなざしは戦時中のそれと全く変わらないように見えた
さよなら愛する人よここは窮屈だと思っていた
眼鏡を外した視界にはぼやけた水平線が踊っている
船の汽笛が幻聴のように聞こえたら船も幻覚だと思えるだろうか
まさしく思い出の中よりはっきりと砂浜には貝殻が散らばっている
風鈴は自閉の象徴であるかのようにその身を震わせている
午後あまりの暑さ故に薄らいだ意識の上をかすめる
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