SATP.Vol.6,「 わたしからあたしへ。 」/PULL.
女性の一人称で書くことが多い。
以前は「わたし」として書いていた。
すこし前から、
「わたし」ではなく、
「あたし」として書くようになった。
「あたし」とはじめて書いたとき、
言いようのない、
内蔵の奥がうずうずするような、
そんなスリルを感じた。
それで思うのだ。
女性が「ぼく」ではなく、
「おれ」と書くとき、
そこにはスリルがあるのだろうか?。
またあるとして、
そのスリルは、
どんなものなのだろうか?。
書く上で女性と男との間に、
境界なんてない。
ずっとそう考えてきて、
いまもそう考えている。
だけど、
「あたし」のとき、
ないと考えているはずの、
境界の上で、
どこかへ向かって踏み外している。
そんな感じがするのだ。
了。
Sex And The Poetry.Vol.6,
「 わたしからあたしへ。 」
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