秋の日記/LEO
 
黄金に色づいた銀杏の葉が

枯れて萎んだプラタナスの葉が

静かに落ちてゆく


それら微かな音にも
わたしの耳は鋭く応えるのに
あなたの声が届くことは無い

印したインクの滲みに隠した思いは
捲るたび輪郭が薄れ
影だけが濃くなり

幻に囚われたわたしは
その手を握りしめ
顔が無いことに
気づかずに
夢の中を歩いていた

 秋の日
 木漏れ日揺れる
 落ち葉の上を
 あなたとふたり


紅く染まった楓の葉が

小さな実をつけた蔦の葉が

静かに舞っている


わたしの日記は
降り積もる葉に
いずれ埋もれてゆくだろう
幾重にも閉じられた思いは
落日に焼いてしまうから

だから
そんな悲しい背中を見せないで
戻る   Point(19)