秋の日記/LEO
黄金に色づいた銀杏の葉が
枯れて萎んだプラタナスの葉が
静かに落ちてゆく
それら微かな音にも
わたしの耳は鋭く応えるのに
あなたの声が届くことは無い
印したインクの滲みに隠した思いは
捲るたび輪郭が薄れ
影だけが濃くなり
幻に囚われたわたしは
その手を握りしめ
顔が無いことに
気づかずに
夢の中を歩いていた
秋の日
木漏れ日揺れる
落ち葉の上を
あなたとふたり
紅く染まった楓の葉が
小さな実をつけた蔦の葉が
静かに舞っている
わたしの日記は
降り積もる葉に
いずれ埋もれてゆくだろう
幾重にも閉じられた思いは
落日に焼いてしまうから
だから
そんな悲しい背中を見せないで
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