都会の屋上に月を見に行く/たりぽん(大理 奔)
今夜はひとり、僕の手を取る君は
楽しそうに自販機のコーヒーを買う
立体駐車場の屋上に君は車をおいたという
スロープを二人、手を繋ぎながら
(君の子供は眠っている頃)
誰にも照らし出されることのないように
フロントウインドウに隠れる二人
いい訳をすることにもつかれたから
曇ったサイドウインドウを下げて夜風をかよわせると
(君の子供は眠っている頃)
ちょこっと欠けた、けれども真っ白な月が
二人のすみかを冷たく照らして
こんな都会の断崖絶壁で
誰かを傷つけずには、
(青いケシの花は眠っている)
手に入れられない
ちょこっと欠けた
けれども真っ白な月の夜
私はいつまで
やさしいままで?
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