チューニング/プル式
 
小さな足音が耳の横で止まり
「お兄ちゃんはうそつきだ」
と声がします

それはまるで今の心の中を引き裂くように
鋭い声で叫びます

私はただただ
恐ろしくなって
恐ろしく なって

気が付いたらば今
こうして此処で こうして
此処で

耳元から聞こえる声は
いつまでも私に叫びます

「お兄ちゃんはうそつきだ」

それは次第に大人の声となり
私の声となりそうして

私はてっきり
私の声だと思っていたのです
しかし 違います
それは そう
違うのです

私が嘘つきなのです
声の言うとおり
私は嘘つきなのでしょう
私はそう思います

私の言葉は
届きますか?
本当の気持ちは
届いていましたか?

あなたにはもう
届かない事は嘘でない気がします。
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