真夜中の発電風車/たりぽん(大理 奔)
 
真夜中の発電風車が
月を三回切りながら
一回転する
生きていないカラクリ仕掛けは
今日も北の海に吠えていて
生きてもいないのに
時々、さぼったりする

風も生きてはいないのに
ため息であったり
怒気であったり
あくびであったりして
鳥の棲む世界の温度を
僕らの体温と勘違いさせて

追いつめられ
真夜中の海岸線
赤い明滅点をかざし
風を読んでいる発電風車に
「死んでやる」、と
叫びに来たけれど
やっぱり彼らは生きてすらいなくて
それでも、ちょっと不規則に
月を三回切る仕草を
ぼうっと見つめながら

やれやれ、と
思うので

また体温を取り戻しに
僕はそそくさと
車を東に走らせる



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