L'eau Gazeuse/
Utakata
ぶ夏の色をした硬質さだ
既にセピア色に褪せつつある絵葉書に差出人の住所は書かれていない
アリゾナの砂漠にでもいるのなら今からでも迎えに行ってあげるのに
もちろん細かな砂に煙る真赤な三日月の下に横たわるハイウェイ上を
けれど彼女の影が実際にいるのは白亜に映える八月の太陽の真下だし
まして彼女自身が何処に行ってしまったのかなど皆目検討もつかない
もう一度部屋を見回して初めてもう夏が終わっていたのだと気付いた
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