目噛んで死ね/水中原動機
 
ばばあも
意味不明の異臭放つおっさんも
ケイタイでしゃべり続ける巨乳女も
ところかまわずわめき散らすガキどもも
みんなみんな死ねばいいって

あるいは
ぼくを縛り付けるすべてのもの
好きではじめたはずの仕事も
めちゃくちゃ人がいい友達も
愛おしくてならない君さへも

本当はすべてを愛したくて
すべてを許容したくて
それができないくらいなら
こんなぼくは死んでしまえばいい
そう
誰かに死ねというその数だけ
ぼくはぼくに死ね死ね死ねって
ずっとずっとずっと言い続けてるんだ

あぁそろそろぼくには海が必要なんだ
ナポレオンフィッシュに出会ったあの海へ
ネムリブカは眠っちゃいないあの海へ
マンタがヒラヒラ泳いでるあの海へ
ルリスズメダイに取り囲まれるあの海へ

とか空想しながらぼくは
やっぱり死ね死ね死ねとか思うんだ
だからせめて目噛んで死ねって言うんだ
そう
母に聞いたのだなぜそんなこと言うの?
ってあの日
「目噛んでは絶対死ねないから」




戻る   Point(1)