香水/ku-mi
バスの発車する音が聞こえた
15時02分
西日に染まる時間
カーテンにくるまって見送っていた
ビルの向こう
机の上に広がった書類
領収書も
重要なメモも
紛れ込ませている
そうやって整頓されていないほうが
忙しいのだと言い訳ができる
でもけして
失くしたりはしない
大事なもの
まだぬくもりの残るシーツ
どんなに抱き合い重ねても
体内がからっぽになるから
お弁当を買いに出かける
甘いものもちゃんと買う
黒いパンプス
足の爪が少し曲がっても
この靴が気に入ってる
冷たい廊下に響くかかとの音が
私らしくなくていい
コンビニから戻ってきて
玄関に入ったとき
嗅ぎ慣れない男物の香水の匂いがして
泣きたくなるのだ
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