ほろびゆく空間にほろびおえた空間にほころびた空間に/土田
 

わたしはわたしすら見えないはずなのに、音として限りなく広がっているため
その振るえの先端のさらに先の繊毛のような手のひらで感じそしてまた湿ってゆく

ひかりは視覚を奪い、手のひらに累々と微かな重みのしかばねを築く
事象は世界が無くなったとしても必要か…
それでも陽はなにかを照らすために何色かになってでも輝くのだろうか
海の底がまだあったとしたならそこにはわたしの手のひらの繊毛のような
ひとつの点が存在していてほしいと思う
もし願うならばその点に重さは無く、わたしたちの赤子のような脆みを帯び
現像として乾き、写像として乾き、原像を成さずにありのまま孤でいてほしい

わたしは今夜、悲哀の海に身を投げる
苦海に、言葉に、救いなど求めぬまま外の世界を形而上に仕立て上げる夢を見る
手のひらは湿ったまま濡れてゆき、滴り落ちたその先の先
知る必要も無い朝に空間はよどんだまま成すことなく
気づいてしまった切り抜かれたしがらみに広がり続ける音
もはや曲線に意味などあるまい
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