午後の空室/あおば
ごごっ!
と
大きな声で吠えたんだ
犬の
コロちゃんのような
声だから
声だから
午後の声だから
空間に消えるのだ
周波の跡を手探りで追って行く
空間だから
届かない
波の無い空間だから
手探りで追って行く
光のない空は
当然のように
真っ暗で
頭のてっぺんから
星のような
輝きが走る
神経が生み出した星形の燦めき
くるくると回る
扇形の軌跡が
公孫樹の並木道に堆積して
空室へ誘導してくれたのに
空の果てから反射して届いたのは
ちっぽけな
僕だけの悲しみ
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