言葉/彰
頑張らないでいいよって、
自分らしく、
無理をしないで出来ることをしたらいいって、
何時しか耳障りの良い、
都合の良い言葉だけが周りに溢れかえった。
でもそれは、
私の想いを、
私の存在をその場から否定しているように、
培った物を一つも残らず取り上げてゆくのだ。
振り返っても、
傷だらけで血の滲んだ足跡はどこにも見あたらず、
涙の跡もすっかり拭われて、
真新しく囲まれた平坦な場所に立たされてしまう。
そして私は、
生まれたばかりの時よりも、
混じりのない心を要求されるのだ。
戻る 編 削 Point(2)