所感/吉田ぐんじょう
レビを消して
煎餅を齧っていたら
電話が架かってきた
むかついていたので受話器を取り
じんせいはすばらしく
ゆめはいつかきっとかなうし
このよにあくにんなんてひとりもいない
と言ってみたら
電話の向うの相手はしばし沈黙
ののち
間違えました
と言って切った
以来
架け直してこない
わたしが悪いんだろうか
・
夕食に魚を焼いた
三尾焼いたはずなのだが
お皿に移す時
一尾足りなくなっていた
おかしいなと思って探したけど
何処にも居なかった
これはおそらく
グリルの向うと海が繋がっていて
まだ余力のあった一尾が
命からがら逃げ出したに違いない
海水が染み込んだんだろうか
甘塩鮭はずいぶん塩からかった
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