所感/吉田ぐんじょう
 

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸みたいに繋がった皮が
ぽそりと落ちて
でもその小腸はいいにおいがする
人間の小腸はどんなにおいだろうな
そう思いながら裸の林檎を噛み砕いた


つまらないドラマを観た
人生は素晴らしく
夢は何時かきっと叶うし
此の世に悪人なんて一人も居ない
とかそんな内容だった
俳優も女優もみんな
多分本気でそんなこと思っていないんだろう
台詞は漏れなく棒読みだった
むかついたのでテレビ
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