詩人の休日/佐々宝砂
 
寒くはないのに足先が冷たい
詩人の休日について思い馳せているせいだ
トランペット吹きの休日なら
明るく自由な旋律だけど
詩人の休日はなぜか
未熟なくせに古くさい響きがして
私の足先をとても冷たくしてしまう
足先をもっと熱くしよう
熱くして
アーレスに対抗しよう
闘おうとするものに
熱いふりして正義を主張するものに
未熟なくせに古くさいものに
対抗しよう
水をなくしたものに
潤わずに凍りついたものに
可能性を持ちながら喪ったものに
もはや燃えることのない惑星に
対抗しよう
明るむ春空に蠍座の一等星は暗い
しかしあれは確かにいまも燃えている
あれは火星なんかよりずっと熱い
あの熱に耐えよう
トランペット吹きに休日はあれ
詩人に休日なんかないのだ

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