ビスケットと春の歌 街角のポスト前にて/桜 葉一
スイッチを押すと
突然夜が訪れる
少し離れてみると
太陽が顔を出す
そんな昼下がり
雲の行方を追うように
まるで
石ころを蹴飛ばす学校の帰り道のように
さながら
線を辿る天道虫のように
いいわけをする君
猫よりものどかに
そして
気ままに
笑った私は
ビーチサンダルのような
パラソルのような
浮き輪のような
そんな
そんな気分だった
少しだけ早く起きた朝は
鼻歌を歌いながら
紅茶よりも淡く
珈琲よりも豊かに
心を揺らして
観覧車のように
回転木馬のように
君と抱きたい
春が
待ちどうしい
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