キャベツ君 ★/atsuchan69
 
空とぶセスナの 繰り返される女の声が
街中、凶暴にふりそそぐさなか、彼はいつものように
駅前のロータリーでキャベツを抱いて
 坐る。 踵をつぶした革のスニーカーを穿き、
深緑のトレーニングウエアと赤い柄の久留米半纏を羽織って
 「きゃ、きゃ、きゃべち。きゃべち 
と、呟いている

今どきの主婦といったら、スマホで誰かと話しながら
スキニージーンズと巻き髪のブロンドヘアー、
トートバッグのショルダーストラップを右手で弄り、
 「あっ、今、キャベツ君のまえを歩いてるとこ。と言う

彼はときおり、
その艶やかな薄緑の葉をむしり
お腹が空いたのか 
ちぎったやつを口に運ぶ
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