取るに足らないノイズ/紫音
た大人ぐらいは演じられる
清潔という名の湖沼の底に
神々の黄昏は沈められ忘れられていく
光り輝く反射光の矢に
本能と羞恥は捨てられていく
北極星を追って
彼女は消えた
月桂樹の痛みに
彼女は消えた
もはや男達は追いかけはしない
荘厳なオーケストラの中に
バスーンの響きはかき消され
大事だったはずのものは
いつしか失くしても気付かれない
万年筆の筆圧に紙は破れ
忘却を止める手立ては失われていく
大掛かりな嘘は切り取られた真実に置換され
0と1の洪水に溺れる
愛しき温もりなき世界の果てに
ワーグナーの足音を聴く
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