冬虫夏草/あおば
てん売りのお兄さんのバイクの音がするのを
首を長くして
待っている。
待ち草臥れて
四苦八苦しながら
宜しくなんて言っていたら
夜露死苦と書くのが恰好いいんだと
医院の先生が
診断を下してくれた
くれたから飲む
暮れたから帰る
一日の愚痴を
ルル述べる
虞美人草
上品に
活かされて
床の間でお客様の
来訪を待っている
お花屋さんも
ずいぶん
残酷なことをする
と
思うことがあります
いつかは
植物人間の復讐が
あったりして
そう思うと
なんだか
首筋がひんやりして
秋も深まったと
感じる冬虫夏草。
戻る 編 削 Point(8)