冬虫夏草/あおば
 
てん売りのお兄さんのバイクの音がするのを
首を長くして
待っている。



待ち草臥れて
四苦八苦しながら
宜しくなんて言っていたら
夜露死苦と書くのが恰好いいんだと
医院の先生が
診断を下してくれた
くれたから飲む
暮れたから帰る
一日の愚痴を
ルル述べる
虞美人草
上品に
活かされて
床の間でお客様の
来訪を待っている
お花屋さんも
ずいぶん
残酷なことをする

思うことがあります
いつかは
植物人間の復讐が
あったりして
そう思うと
なんだか
首筋がひんやりして
秋も深まったと
感じる冬虫夏草。

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