冬虫夏草/あおば
 
幸せは
仕合わせと
書くのだと
誰かに聞いた

自分から努力して手に入れるのが
仕合わせなのだと
言いたいような顔をして
ところてん売りのお兄さんは
鉢巻きをしてバイクのエンジンを掛けた
ヘルメットがない時代の話なので
メットは要らない
まだ
世の中がのんびりしていて
人は死ななくてもよかった時代のことなので
安全なんてことばも要らなかったのかも知れない

毎日が忙しく
慌ただしくなった
今でも
ところてんは
栄養無いけど
みんな食べたがるんだ
太らないから
仕合わせになれるんだ
そう言い聞かせて
ところてん
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