田舎町の女の子/きりえしふみ
 

さながら未熟な求道者
いつの日だって 風に光に耳寄せた
怖いものでも盗み見て

おしゃまな瞳のその奥で
瞑想してたの
日々と夜々の……例えば月の……煌めきを そのビーズを
小さきものも儚きものも
努めて大切に
心に留め 想いを浸しながら
忘れぬようにと縫いとめた わたしたち
町一番のお針子だった

沢山の風景を 真新しい出来事を
夢中になって書き留める
あの日のわたしたち
天がこの世に使わした
幼き頃のわたしたち
皆可愛く女のふりした ヘルメスだったわ
ホントの女になるまでは

(c)shifumi_kirye 2006/10/26

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