/時雨
 
小さな手をクルクル振り回して
何か一生懸命に説明してる男の子の言ってることは
結局何を言いたかったのかわからなかったけど、どうやら
その子にとって一大事らしい。


私の手を必死に引っ張って、汗までかいて
何処かへつれてこうとする男の子の手は小さくて
私の中指と人差し指だけ掴んでる。


庭に落ちていた鳥は、首から上がなくて
内蔵的なものさえ飛び出ていたけれど、
それを興奮しながら小さな指を指して「ほら、ほらね」
と言う男の子の目はまん丸だった。


コレが何なのか、
わからない男の子と
コレを汚いものと、
思う私。


その男の子よりも10年以上長く生きてる私は
上手にその子にコレが何なのか教えてあげられなかった。



私の拙い説明で「鳥だったモノ」であることだけわかった
その男の子は空を飛ぶ鳥と見比べて首を傾げた。






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