初恋/長月 猫
ふとしたきっかけからの君との再会
君は僕を覚えているかい?
僕は一時として君を忘れたことなんてない
君と過ごしたあの日々を
君が見せたあの笑顔を
でもそれは……
忘れられないのは哀しい痕
あの日
あの時
何故君に言うことができなかったのか
たった二文字の言葉が
盆からこぼれた水は継ぎ足すことはできても
こぼれ落ちた水を戻すことが出来ないように
時の事象もまた戻すことは出来ない
しかし
頭で解っていても心が納得していない
今君は隣にいて微笑んでくれていて
僕も笑ってはいるが
頭の中にはあの頃の事ばかり
もう消えてしまっていたと思っていた火が
また燻りはじめる
が、すぐに消すことができた
自分の心に礑ケリをつけた
哀しい痕はまだ痛む
それでも前に進もう
哀しい痕は隠したから……
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