助走/山崎 風雅
 

 遠い宇宙の彼方から
 地上に穏やかに落ちてくる夜なべ

 静かに皆は眠りについて
 昼の喧騒を冷ましている

 艶やかな青紫の中で
 輝く笑顔を自分の胸の中で探してみる

 孤独は狭い部屋の壁の中で反響し
 身体はバラバラに解体される

 進むことが善ならば
 退くことは悪なのか

 高く遠くに飛ぶためには
 長く助走をとった方がいい

 過去なんて自分の胸のキャンパスで
 どんな色にも彩色できる

 だから
 泣かないで
 嘆かないで
 死なないで

 僕を待ってる人がいる限り
 胸の中の方位磁石を手がかりに
 明日への旅に出てみよう

 僕は一人では生きていけない
 一匹の哺乳類

 真夜中の妄想
 世界の彼方まで飛んでいけ



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