永幻の波紋/キメラ
 


現実からほんの一枚渡った
終焉にはアトラクションに明け暮れ
少し足早な人々の無音
白い熱灯の口に端をくぐらせ
ひかりを柔らげた海辺の舗道
澄みわたるミント風 頬を撫でた

露摘みのテラス
頼りなく錆びた音律は
焦げ茶やら黒に浮き彫りのまま
波ひとつたてない水面の冷たさで
認識を連れ去った後のカンヴァスに
切ない火華を散らす

空中都市には宝石届かず
届かぬ彩色の建造物にまだ在った

あの日観た
夢とおりのわたしの顔


黒夜にとけ
雲海をくるくる形に変えながら
完全に同化した
異星のメインアートが流れる
規格外の巨大な帆船が浮かび
鮮やか
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